「ああ。古高さんも君の言う通りにしておけば良かったんだ…」
「今は何を言うても詮無き事です。取り急ぎ今夜にでも会合を開きましょう」
吉田の頭は次の段階を向いていた。その切り替えの速さに桂は脱帽する。
「な、何の騒ぎだね」
宮部がそこへやって来た。futu trustee 桂は古高の件を伝える。
すると、宮部は驚愕の表情を浮かべた。
「助け出さんといかん!」
宮部は刀を握ったが、それを吉田が制する。
「宮部さん、お気持ちは分かるが、急いては事を仕損じると言う。今夜、会合を開いて対策を練りましょう」
「う、うむ。…貴殿は若いのに落ち着いておるな。素晴らしき人材よ。桂殿、長州の未来は明るいのう」
桂はその言葉ににんまりと笑うと大きく頷いた。
「して、その会合場所とは四国屋で良いのか」
「否、昨夜使用したため万が一を考えて池田屋が良いかと思います。吉田君、どうだい」
桂からの問いに吉田は頷く。
「池田屋はよう我々も利用しており、勝手が分かる上に店主にも都合が効くけぇ、
隊士の一人が隠し部屋を発見し、中を改めてみると出るわ出るわで、金子に大量の武器、書簡等が発見された。
「全て持っていけ。そこの荷台を使うんだ」
店内にあった荷台にそれらを全て積むように指示する。
古高は顔面蒼白になりながらも、為す術もなくそれらを見守った。
「桝屋、これで何をしようとしていたんだ」
「し、知らん…。わては何も知らん!」
古高は口を噤む。その様子を見た武田は舌打ちし、古高の襟首を掴むと、横に薙ぎ倒した。
「ら、乱暴は堪忍しておくれやす!」
丁稚がそう声を上げると、武田は扇子を取り出し口元を隠す。冷たい視線を受け、丁稚は縮み上がった。
「乱暴…?この武器を使って乱暴をしようとしていたのは何処の誰だと思ってるんだ?」
「それは…」
「取るに足らない小物は命が惜しければ黙って見ておけ。力の無い者の下手な忠義は主人の命を危うい物にするぞ」
武田は丁稚の前に行き、しゃがむとその顎を扇子で持ち上げる。目には残虐の色が宿っており、それを見た丁稚は恐怖に怯え失禁した。
ふん、と鼻を鳴らすと武田は奥に向かって声を上げる。
「まだ積み終わらぬのか」
「はい、もうすぐで完了します!」
「早くしてくれ。小便臭くて敵わない」
武田は古高の後頭部を刀の柄で思い切り殴り、失神させた。
「悪く思うなよ。逃げられたら困るからな」
間も無く荷台二つ分の押収品が積み終わり、武田らは屯所へと帰っていく。
丁稚の声に反応したのか、奥の部屋の襖の中に隠れていたところを引っ張り出した。
「な、なんや!新撰組が何の用や!」
抵抗をするが、それはまるで無意味と言わんばかりに縄できつく縛られる。
「武田先生!武器が沢山出てきました!」屯所に帰ると、古高は前川邸にある蔵へ入れられた。
武田が気絶させてしまったため、冷水をかけて無理矢理起こす。
最初は監察方の山崎による尋問だったが、古高は名を"古高俊太郎"とだけ名乗ったきり以降は一切口を割ろうとしなかった。
近期熱門活動...
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